造船AI

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造船

「造船」・「港湾」・「海運」をはじめとする「海事産業」は、日本の高度経済成長を支えた主要産業であり、グローバル経済が浸透した現在においても、我が国の貿易全体に占める海上貿易の割合(重量ベース)は、99%を超えています。しかし、モノの安定的な輸出入を支える海事産業においても、グローバル競争や人材不足、環境問題への対応など、さまざまな問題があります。

当社では、海上産業における造船業界が抱える課題に対して、ITを用いたソリューションを提供いたします。

公的研究機関や民間団体と協力しながら、IoT・機械学習・自然言語処理等の人工知能技術を用いたシステムの研究開発を進めています。


【ニューラルネットワーク型騒音予測システムの実用化】

国連の専門機関である国際海事機関(IMO)において、乗組員の環境を改善するために、船舶の居住区内の騒音レベルを一定値以下にすることが義務づけられました。

この規制値以下に設計することは、とくに機関と居室が近い中小型造船の設計・建造においてたいへん厳しいといわれており、造船会社の設計者から「精度の高い騒音予測の確立」を望む声が大きくなっておりました。

以前から、設計する船舶と構造的に類似した船舶の騒音計測結果を基に、チューニングを実施して予測する「Janssen法」と呼ばれる経験的な騒音予測手法がありました。

しかし、横方向(とくに角部屋)やフレームスペースの影響、新設計船への対応困難などの理由から、新しい騒音予測手法が求められてきました。

一方、IMOの騒音規制によって実船の騒音計測結果がたくさん蓄積されることになりました。そこで、この騒音計測結果を騒音予測のための教師データとして活用し、CADデータを分析することで、類似船の探索や騒音予測に必要な設計情報を自動または半自動で取得する技術を開発しました。学習モデルは、ニューラルネットワークを採用することにしました。

これらの研究開発は、「国立研究開発法人 海上・港湾・航空技術研究所 海上技術安全研究所」様と一緒に取り組んできました。そして、この「ニューラルネットワーク型騒音予測システム」が造船現場でのAI実用化事例として、人工知能学会の論文誌にて紹介されました。

人工知能学会論文誌 Vol.35 No.2 (2020年3月)

連載:「教養知識としてのAI」〔第5 回〕造船設計とAI

※漫画でわかりやすく解説されていますので、ぜひご一読ください。

現在、私たちは独自に開発したCADデータの分析技術をさらにレベルアップさせて、「CADデータのインテリジェント化」を目指しています。

CADデータには、モノづくりのさまざまな知識・技術・ノウハウが含まれています。これらを解析することで、さらに効率よく且つ安全に配慮した設計ができるのではないか、と考えております。

今後の更なる研究開発の進展にご期待ください。

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